債務整理とは?自己破産とは?
皆さんは、自己破産や債務整理という言葉をご存知でしょうか。 テレビやドラマなどで言葉は知っていても実際はどういったものか理解している人は 法律に従事する方以外は少ないと思います。
債務整理とは、借金で生活困難になったときに行われる法律で認められた救済措置のことで、一口に債務整理と言っても種類がいくつかあります。
種類としては…
「任意整理」 | 弁護士などに依頼し、裁判所を通さずに貸金業者と減額や分割払いの交渉をする方法 |
「自己破産」 | 負債額が多額で返済が困難な場合、借金の返済を免除してもらい、負債を帳消しにする方法 |
「個人再生」 | 裁判所に申し立てを行い、借金総額を20%までに減額し3年~5年間で計画的に返済していく方法 |
それぞれにメリットデメリットがあり、簡単に説明すると以下の通りです。
任意整理
「任意整理」のメリット
- 過払い金(法定の利率を超える高金利で返済していた利息)が返ってくる可能性がある。
- 弁護士が手続きを始めた時点から貸金業者からの取立てが自分に来なくなる(弁護士が全て窓口となって対応する)
- 職業制限がないので、原則どんな職業の人でも手続きできる
「任意整理」のデメリット
- 債務整理の中で比較的施行しやすいが、減額の程度は少なめ
- 貸金業者との和解交渉であるため、話がまとまらない場合は不成立になる可能性がある(希望通りの条件が通るとは限らない)
- 信用情報機関に登録され、ローンやカードの審査が通りにくくなる
個人再生
「個人再生」のメリット
- 借金を20%まで圧縮減額することが可能
- 任意整理と同じく職業制限がない
- 持ち家を保有している場合、これを処分せず保有し続けることが可能
- 強制執行などで給料等の差し押さえを行わることがなくなる
「個人再生」のデメリット
- 3年~5年の間に計画的に返済しないといけないため、返済の目処が立つ安定した収入がないと手続き不可
- 債権者(金融機関等)の同意が必要(適用条件が厳しい)
- 信用情報機関に登録され、ローンやカードの審査が通りにくくなる
自己破産
「自己破産」のメリット
- 税金や公共料金を除き原則全ての借金の支払い義務から解放される
- その他の手続き同様、取立てや強制執行の心配がなくなる
「自己破産」のデメリット
- 不動産や自動車など高価な財産は全て処分しなければならない
- ギャンブルや浪費などの借金は免除の対象にならない(例外的に認められる場合もある)
- 他の手続同様、信用情報機関に登録され、ローンやカードの審査が通りにくくなる
これらの方法の中でどれが自分に適しているのか。また、手続きをどのように行えばよいかはあまり知られていません。
ここからは、借金によって暮らしにどういった変化があるのかをステップを追いながら説明していきます。
また、どのタイミングで弁護士に相談をするのがベストなのかを紹介していきたいと思います。
借金が引き起こす負のスパイラルと解決するための手段
借金の第1段階 あなたの個人情報がブラックリストに
クレジットカードの未納などで滞納状況が続くと、あなたの未納記録が個人信用情報を取り扱う信用情報登録機関に登録されます。(これが俗にブラックリスト入りといわれているものです)
ブラックリストに入ることでカードが使えなくなったり、新たなカードを作ろうとしても審査が通らないといったデメリットがあります。
また、ローン決済を行う取引には必ずといっていいほど信用情報機関に登録された情報をもとにした審査があります。なので、住宅ローンや車をローンで購入することはもちろん、日常で使う携帯電話も分割購入できなくなってしまうおそれがあるのです。
では、どういった場合にブラックリストに登録されるのかというと
借金延滞による登録
信用情報機関に登録されるケースとして、一番多いのが延滞(滞納)です。どの程度の滞納が登録の対象になるかは業者によっても異なり明確な決まりはありませんが、一般的におおよそ「2ヶ月以上の滞納」または「3回目の滞納」くらいで対象となる場合が多いようです。
一度信用情報機関に登録されますと何年もの間(登録期間についても明確な決まりはありません)滞納記録が信用情報機関に残ってしまい、その間は前記のような影響があることになります。
また、それ以外の条件として
短期間の複数の貸金業者の利用
貸金業者からの借金滞納を防ごうとして、更に他の貸金業者から借りることで返そうとする行為でもブラックリスト入りしてしまう場合もあります。なぜかというと、信用情報機関に登録されるのは未納状況だけではなく貸金業者やクレジットカードの申し込み情報も記録がされているためです。この情報から、多重債務が疑われブラックリスト入りしてしまうこともあるのです。
上記であげたもの以外にも、様々なケースがありますので借金の未納や多額の借り入れには注意が必要です。
第一段階でも、日常の生活に支障をきたします。
クレジットカードを持てないことや、ローンが組めないということは車や家を買うときに分割ができないということです。大金を用意して一括購入しなくてはいけなくなりますので、かなり生活が不自由になります。
そして、更に状態が進むとどうなるかというと。
借金の第2段階 差し押さえで全てを失う危険性
滞納が続くと貸金業者からの催促の手紙や電話が頻繁にあなたの元に届くようになります。これだけでも、精神的苦痛は計りしれません。
場合によっては職場等へも督促の連絡が届く可能性があり、もしもそのような事態となると職場での信頼を失うことになる危険性などがあります。利息で借金が膨らむだけでなく様々なものを巻き込んで負のスパイラルに落ちていくのです。
また、こういった督促によって借金の存在が職場や家族にバレてしまい家庭崩壊や職を失ってしまうケースもあります。この段階に来ると、個人の問題だけでなく周りの人を巻き込み加速的に事態が悪化し始めます。
また、催促に応えず支払いをしないでいると、貸金業者が裁判所に訴えて支払い督促や貸金請求訴訟の手続きを行います。
裁判所からの通知が来る段階は非常に危険な状態であると言えるでしょう。
この先に待っているのが、差し押さえというものです。
ここでは詳しい手続の流れは省きますが、裁判所に訴えが提起されると裁判所から訴状や裁判の日程が書かれた通知等が送られてきます。
この期日に出頭しないと、債務名義という貸金業者があなたの財産を差し押さえる権利を得ることにつながります。
差し押さえられる対象としては
- 銀行口座の貯金
(本人の意思とは関係なくお金が抜き取られるため。気づいたら貯金が0だったということを十分あり得ます) - 仕事をして得た給料
(原則として、4分の1程度が毎月自動的に返済されていくことになります) - あなたが保有している不動産や自動車
(生活に必要と判断されたもの以外は全て差し押さえ対象になります。不動産や自動車以外にも建築機械なども差し押さえ対象です) - 自宅の貴重品などや現金
(自宅に強制立ち入りが行われ、現金、貴金属、有価証券はもちろんのこと生活に必要最低限な家具や家電以外はすべて対象になります)
ここまでくると、自力で生活を元の水準に立ち直すのは至難の技でしょう。
近年ではネットやスマホでも簡単に様々な借り入れを選択することが出来る時代です。
しかし、借金が膨らみ過ぎて返済が困難になってしまうと、法律で決められたルールに則って難しい手続きしなくてはいけない。事態が悪化すればするほど選択できる手段も減りコストもかさみます。返済が困難となってきた場合にはいたずらに放置せず、「早めの対応」が肝要です。
ただ、冒頭にも申し上げたように法律家以外の一般の方こういった事実を知らないのは仕方のないことだと思います。
なので、専門家への相談が重要になるのです。
では、どのタイミングで相談をするのがいいでしょうか?
私としては、「借金を返すために借金をする」という多重債務になってしまった段階が一つのタイミングで、一度弁護士への相談を受けることをオススメします。
早い段階での弁護士相談がオススメ!
早い段階の相談をおすすめする第一の理由として、
最近は無料で相談を受けられる法律事務所も増えてきており気軽に相談ができ、専門家からの親身なアドバイスがもらえ、専門家のアドバイスを受けることによって事態が悪化することを防ぐことが出来るからです。
借金の問題で、家族や友人など近しい人にも相談ができず一人で抱え込んでしまい、貸金業者などからの催促で精神をすり減らして病気になどなってしまっては元も子もありません。
そうなる前に、一人で悩まず相談をしてください。